株式会社GOYOHは不動産業界の中堅メンバーの成長を目的としたULIジャパンNEXTの活動をスポンサーとして応援しています。2025年9月、日本初のインパクトファンド事例に関するイベント開催を協賛し、代表の伊藤が登壇しました。(以下ULIウェブサイトより抜粋)
_______________________________________________________________
9月9日、ULIジャパンNEXTはSPACES大手町でイベント「注目ファンド事例に学ぶ 社会的インパクト不動産投資の最前線」を開催し、塗矢眞介氏(ULIジャパン NEXT 共同議長、㈱シーラテクノロジーズCIO)をモデレータに、2025年7月に三菱UFJ銀行が出資を発表し話題となった株式会社プロフィッツが組成するQOLファンドの関係者を迎え、社会的インパクト不動産の最新動向と今後の展望についてディスカッションをした。
株式会社プロフィッツのQOLファンドは、保育園(コア)、バリューアッドにペット共生型住宅、シェアオフィス、ホテル(バリューアッド)を対象とし、各セクターの優秀なオペレーターとの連携で、インパクト投資という未知の領域での収益性確立を目指す。今年6月末にMUFGを筆頭に地銀、リース会社、事業会社からの出資を受け、1号ファンドでは150億円の規模で組成を終えた。今後はシリーズ化され3年間で累計700億円規模に拡大する計画だ。
本ファンドは、国土交通省が公表した「社会的インパクト不動産実践ガイダンス」に基づき、利用者満足度や地域貢献、スタッフの働きがいといった社会的価値をKPIとして定量評価・可視化する仕組みを取り入れる。入居者の満足度や地域との共生、さらには潜在的ニーズを顕在化させる取り組みを積み重ねることで、「マイナスをゼロに戻す」活動にとどまらず、「ゼロからプラスの価値」を生み出していくことを掲げている。
「評価手法やエコノミクスとの相関性が確立されていないなか、QOLファンドへの資金調達は容易ではなかった。」と太田寛明氏(株式会社プロフィッツ シニアマネージャー)は語った。機関投資家の稟議プロセスにおいても不動産案件として判断すべきかサステナビリティ案件として位置づけるべきか議論が分かれるなど、日本における社会的インパクト不動産市場はまだ黎明期にある。
本事業で社会的インパクトのKPI設定を監修するロンジェビティ・パートナーズ藤井美里氏(サステナビリティ&エネルギーアナリスト)によれば、ESGの先駆者である欧州でも、E(環境)に比べてS(社会)のインパクト測定は発展途上だという。アフォーダブルハウジングファンド等で進展は見られつつあるものの、地域や利用者によってKPIが異なる場合が多く、統一された評価手法は存在しない。「Sの難しさは、国や地域、コミュニティ、さらには利用者によってアプローチや測定方法が大きく異なる点にあり、適切かつ合理的な測定手法を見極め、あるいは適応させていくことが極めて重要」だと語った。
不動産ESGソフトウェアサービスEaSyGoを運営し、本事業でもインパクト測定ツールを提供する株式会社GOYOH代表取締役の伊藤幸彦氏は、不動産価値およびNOIの改善(賃料・稼働率向上、リーシング費用削減など)に結びつく社会的インパクトの指標設定の参考として、統合型リゾート(IR)やラグジャリーホテルにおける海外事例に目を向けたという。「業界のESGの課題は、認証や開示のためのデータ取得が目標になってしまっている点。IRやホテルオペレーターといった事業者が顧客の体験価値を戦略的に誘発するように、不動産の価値向上を目指すには、データを活用し、ステークホルダーの共感を得るストーリーを基にしたエンゲージメントが必須になる。」
海外の機関投資家によると、本事業は世界的にも先進的な取り組みだという。今後大きな市場拡大が期待されるなか、ソーシャルウォッシュに繋がるリスクについてもパネリストは警鐘を鳴らした。個別アセット独自の地域性や特徴を活かした社会的インパクト測定・設計による活性化が期待される一方で、「ネガティブなインパクトが洗い流されないよう、一定のネガティブ要素の有無をチェックする基準などの必要性も考慮すべき」だという。(伊藤氏)また、「限定的なプレーヤー間での取り組みは視野が狭くなってしまいがち」であり、今後への拡大性のある事例を確立する上で、ULIジャパン等の団体を通じて業界全体での情報共有等、協力した取り組みを呼びかけた。
当イベントは株式会社GOYOHのスポンサーシップにより開催。ULI NEXTへの参加、スポンサーシップについてはULIジャパン事務局(japan@uli.org)までお問い合わせください。