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⑥「不動産におけるポジティブ・インパクト投資の実現」

⑥「不動産におけるポジティブ・インパクト投資の実現」

金融市場からのサステナビリティへの要望

 

不動産におけるポジティブ・インパクト投資の実現

 

約162兆円の資産を運用する世界最大の機関投資家である日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)や大手生命保険といった国内機関投資家は、金融市場におけるポジティブ・インパクト投資の実現を目指し、債券市場・株式市場で積極的な枠組みの編成を行っています。

 

直近では、日本生命保険は2021年4月から、すべての投融資の判断に、企業の環境問題や社会貢献への取り組みなどを考慮した「ESG」の考え方を採用すると報じられています。

 

金融市場からSDGs/ESGといったテーマへのポジティブ・インパクト投資への要望は、世界的なメガトレンドとなっており、近い将来にはSDGs/ESGといった要素を含むことは企業活動や事業への投融資の重要要件となると考えられます。

 

UNEP Impact Radar

 

 

ポジティブ・インパクト投資とは

 

ポジティブ・インパクト投資とは、「財務的リターンと並行して社会的および(もしくは)環境的インパクトを同時に生み出すことを意図する投資」をいう。不動産を取り巻く環境・社会的課題としては気候変動、土壌・大気・水、廃棄物等があり、一方で、創造可能な価値としては、健康快適性、雇用、包摂性・多様性、災害強靱性、地域貢献、賑わい・活性化等多岐にわたる。

 

言うまでもなく、不動産は生活・産業の基盤であるから、多くの社会リターンを生み出す起源となり、ポジティブ・インパクト投資の主たるターゲットであるSDGs への多大な貢献が期待できる。一方で、開発事業に伴う森林伐採や、温室効果ガスの排出等、気候変動や大気・土壌等に関する負のインパクトも多く存在する。そのため、ポジティブ・インパクト投資では、社会的なインパクトを正・ 負両面から観測し、定量的に計測してトータルで正のインパクトとなることが求められる。

 

(出所:三井住友トラスト基礎研究所)
GSG国内諮問委員会による2019年度のアンケート調査によると、日本における社会的インパクト市場の投資残高は、少なくとも4,480億円あることが確認され、2018年度調査の3,440億円を大幅に上回った。

日本国内だけでも、不動産におけるポジティブ・インパクト投資の対象となる市場は、直接的な市場だけでも約210兆円(J-REIT、証券化不動産、収益不動産)、法人所有の不動産を含めると計430兆円の価値を有しています。(出所:国土交通省2018年3月時点)

 

この膨大な資産と、その不動産に関連した様々な人々と企業の活動を源泉として生み出されるポジティブ・インパクトは、私達の未来に非常に大きくポジティブな影響を与えることが期待されます。

 

しかしながら、不動産投資市場では、ポジティブ・インパクト投資の実践的な浸透や枠組みは、まだまだ手付かずの状況です。

 

ポジティブ・インパクト投資が手付かずの不動産市場

 

不動産はもっとも密接に人々や企業の日々の活動と直接関連している資産でありながら、ポジティブ・インパクト投資はまだまだ浸透していません。

 

機関投資家と不動産利用者の間を隔てるレイヤーは多層で、従来、不動産運用や管理は、所有者(運用者)とテナントの間の経済的関係性が中心となっており、テナント(企業)は自身の顧客のために社会性を追及することはあっても、それは多くの場合は不動産と分離されており、不動産自体が社会的効果といったポジティブ・インパクトのために設計されていなかったケースが大半です。

 

 

今日の不動産運用は投資対象としての経済性や、物件個々の環境性能の効率性(収益性)に重点が置かれており、機関投資家の目標とするポジティブ・インパクトの効果を生み出す機能は十分に果たされていません。

 

機関投資家からの不動産におけるポジティブ・インパクト投資への要望が実践的に果たされるには、不動産投資・運用におけるポジティブ・インパクトへの機能を生み出す「触媒」が必要となります。「触媒」には、不動産運用者や管理者の独自のSDGs/ESG施策や、関連業者やITツールなどが挙げられます。

 

では、ポジティブ・インパクト不動産投資において、これらの「触媒」は今後どのような効果を発揮することが金融市場から期待されているのでしょうか?

 

 

 

世界的に機関投資家がポジティブ・インパクト投資への指針とする、UNEP FI(国連環境計画 金融イニシアティブ)の提唱するポジティブ・インパクト不動産投資フレームワークの4つの投資目標は以下です

(参考:国土交通省資料

  • インパクトの明確化
    投資活動からのインパクトの特定と創出
  • 市場水準およびサステナブルなリターン
    経済的、社会的、環境的便益を創出しつつ、財務的なリターンとのトレードオフはなし
  • 追加的な資金および/またはインパクトのフロー
    サービスが十分に行き届いていない商品と市場に対する長期的な経済パフォーマンスに寄与するような物理的・社会的側面での支援
  • インパクトの計測化
    ポジティブおよびネガティブな属性およびネガティブ要因の緩和、事前・事後の意図とインパクトの結びつき

これらの4つの投資目標を満たすためには、不動産の運用において直接・間接的に関わる活動における、社会的・環境的な便益の創出(選択肢の提供)、可視化と解析、不動産への付加価値、多方向的コミュニケーションを全てのステークホルダーに提供することで実現できます。

 

私たちは、これらの要素を満たすための触媒となるツールを提供することにより、不動産市場のみならず社会的な大きなインパクトを達成できる考えています。

 

 

不動産ESGテックサービス「EaSyGo」は不動産オーナーや運用者へ適切なツールを提供することにより、個々の不動産という「点」の枠を超え、その他の点と繋ぐ「線」との連携により、不動産を舞台とした人々にとって持続可能性への共通の取り組みとなる行動変容を促します。

 

人々の能動的な持続可能性への行動変容を促すため、EaSyGoは不動産の利用者へ動機、手段、評価、共有、共感いった、持続可能性への取り組みに必要な要素と選択肢を提供します。

 

個人からコミュニティへ、コミュニティから街へ、街から都市へ、持続可能性を拡げます。

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